運命の出会いって信じますか?
すると生都くんが話し始めた。
自分のお父さんのある日の衝撃的な告白から始まった家庭内のごたごた。
就職をして家を出てから、お姉ちゃんの事を突き止めた事。
自分の配達区域に妹である私の名を伝票で見つけた事。
そして…。
「それが分かっていて、俺は野々…、いえ華さんの事を好きになってしまったんです。」
凛とした生都くんの声。
「やっぱり相田部長の息子さんだな。女性を見る目はしっかりしているようだな。」
柏木さんのその一言は、その場の雰囲気を和ませた。
「本当にごめんなさい。」
急にお姉ちゃんが生都くんに向かって頭を下げた。
「私、あなたにつらい思いをさせていたのね。奥様にもあなたにも私達の関係は知られていないと思っていたの。まさか部長がそんな風に私を思ってくれていた事、既に奥様に別れ話をしていた事は関係を解消してから知ったの。」