運命の出会いって信じますか?
「日下君の感じだと映画かなって思っていた。」

私はそんな風に言う。

腹を決めて日下君のお誘いを受けたつもりだったのだけど、私は私なりにあの返事の後から緊張をしていたのは否定出来ない。

つい彼と出掛ける場面を想像しては、それを打ち消すように昨晩ずっとつぶやいていた。

「自然に、自然に。流れには逆らわない…。」

「ん?」

日下君が立ち止って、私の顔を見つめる。

どうも私は心の中で思っていた事を、口に出していたようだ。

「流れに逆らわないって、どういう事?」

「うん、そのうち説明する。」

私がちょっと首を傾げてそんな事を言ったせいか、その瞬間彼は私の手を取った。

「野々村が何を考えているか、俺にはまだ掴めない。」

そしてぎゅっと強くその手に力を入れる。
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