恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「あ」



晴希さんは身長が高いから頭が少し出ていて、すぐに見つけることができた。


嬉しくて一歩足を踏み出したとき視界に入ってきたのは、晴希さんの腕に手を添えてくっついている石崎さんで。


それを見たとたん、あたしは無意識にすぐ傍にあった柱の陰に身を隠す。


人の波に呑まれているとはいえ、彼女を振り払う素振りのない晴希さんに胸がずきんっと痛んでしまった。


きっと声をかければ晴希さんはその手を振り払ってあたしの方に来てくれる。


それはわかっているんだけれど、今のあたしにはそれができなくて。


そのままバス乗り場に向かう二人に、姿を見せることも声をかけることもできず。


だからといって、それを見るのも耐えられなくて。


あたしは身を翻して、晴希さんとは逆方向に向かって足を進めた。
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