恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「それはどこからどうみても晴希が悪い。でもさ、何か事情があるにしても会社で噂になるほどのことを放っておくなんて……あいつらしくもない」



あたしもそう思っていた。


けれど、晴希さんと出会った頃に流れていた“晴希さんが紗羽さんのことを忘れられない”という噂を、あのときの晴希さんは知らなかったし、意外と本人にはそういう噂が届いてこないのかもしれないとも思う。



「一度訊いてみたら?」


「え」


「晴希に、ちゃんと訊いてみた方がいいと思うな」


「……」



それは今までに何度も思った。


けれど晴希さんを前にすると、何も訊けなくなってしまう。
< 109 / 491 >

この作品をシェア

pagetop