恋の魔法と甘い罠Ⅱ
彼女がいなくなってからどれくらい経ったんだろう。


胸の奥の方をぐりぐりと抉られるような、そんな状態に息をするのも苦しくなる。


本当は今すぐ晴希さんのところに行ってぎゅっと抱き締めてほしい。


でも石崎さんが会社ビルに入っていくのを見てしまったから、あたしには今そうする勇気がなくて。


予定通りタクシー乗り場へ向かう。


けれど、タクシーに乗って向かった先はついさっきまでは全く予想もしていなかった場所。



ピンポーン……



セキュリティが充実したマンションの入り口で、部屋番号を押す。



“はい”



聞こえてきた声に泣きそうになる。
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