恋の魔法と甘い罠Ⅱ
不信感
◇◇◇
「行ってくる」
「うん、気を付けてね」
「ん」
そのまま背中を向けた晴希さんだけれど、すぐに振り返る。
「忘れもん」
そう言って左手をあたしの後頭部に添えながら引き寄せて、ちゅうっと吸い付くようなキスを落とす。
「明日の夕方には帰れると思うから」
「うん」
「じゃ」
「うん」
晴希さんは背中を向けると、今度こそ玄関のドアを開けて出張に行ってしまった。
あれから出張の話をすることはなかったけれど、あたしの胸の中には常にそのことがぐるぐると渦巻くように居座っていて。
ずっとモヤモヤとした気持ちを抱えていた。
鋭い晴希さんがそんなあたしに気づかないわけがなく。
けれど、モヤモヤの原因を話すことはできなかった。
「行ってくる」
「うん、気を付けてね」
「ん」
そのまま背中を向けた晴希さんだけれど、すぐに振り返る。
「忘れもん」
そう言って左手をあたしの後頭部に添えながら引き寄せて、ちゅうっと吸い付くようなキスを落とす。
「明日の夕方には帰れると思うから」
「うん」
「じゃ」
「うん」
晴希さんは背中を向けると、今度こそ玄関のドアを開けて出張に行ってしまった。
あれから出張の話をすることはなかったけれど、あたしの胸の中には常にそのことがぐるぐると渦巻くように居座っていて。
ずっとモヤモヤとした気持ちを抱えていた。
鋭い晴希さんがそんなあたしに気づかないわけがなく。
けれど、モヤモヤの原因を話すことはできなかった。