恋の魔法と甘い罠Ⅱ
あたしにはそうは聞こえなかった。



「……」



やだ。こんなのやだ。


今までは噂で聞いたことばかりで、自分の目で見ていないから気にはなりながらも気にしないようにしてきた。


けれど。



『主任、何してるんですかあ?』


『ちょっ、何してんだよ!』



焦ったような晴希さんの声が聞こえてきて、彼女はいったい何をしたの?


晴希さんは呼ばれたって言ったけれど、きっとそうじゃないんだよね?


疑いたくないし、何もないって信じていたいけれど、何も見えないからか不安ばかりが大きくなっていく。



「玲夢ちゃん?」



だんだん項垂れていくあたしの顔を覗き込むように悠亜さんは話しかけてきたけれど、じわりじわりと熱くなってきた瞳からほろりと涙がこぼれるのを見られてしまった。
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