Engage Blues
このまま二連戦に持ち込むつもりは毛頭ない。
美由紀を相手にして、すでに闘気は底をついてる。ふたりに叩き潰されたら、そこで終わりだ。
卑怯だと罵るつもりはない。わたしだって、手段を選ばなかったら同じことをするはずだ。
さて、どうしたもんか悩んでいると、
「梨花ッ!!」
突然、慶さんが大声で叫ぶ。
彼に視線を向けた瞬間、拘束が解けた。
ぷつりと糸が切れたように、虎太郎と虎次郎が崩れ落ちる。
驚いて見下ろすと、彼らは完全に昏倒している。意識がない。
恐る恐る顔をあげる。
道場の奥にいる慶さんを見て、息を呑む。
立ち膝の姿勢でこちらを見つめる彼の瞳は、金色に染まっていた。
噂に聞いたことがある。
鬼洞家が最強たる所以は、発動時に輝く瞳術だ。
ひと度、術を食らったが最後。逃れることはできない。
その煌めきは、世界中の富を集めてもかなわない美しさだという。
相対する敵すらも魅了するほどの金色の輝きで、幻術に嵌める。
虜になった者は、術者の思うまま。
気絶させることも、廃人にさせることも、緩やかな死へと誘うことも可能だ。