強引上司とオタク女子


 先日のイベントが落ち着き、ウチのグループは一段落……と言いたいところだけど、世の中には事後処理ってものがあるわけで。


「川野さーん。請求書届いているので経理に持って行ってもらえますか?」

「はいはい」

「川野、お礼状出来たか?」

「もうちょっとでーす」


あちらこちらから呼ばれる私の名前。
なんなの、今頃モテ期か。
つか仕事でモテ期が来てもなんにも嬉しくない。


「……あの、川野さん」

「はいはい、なんですか!」


つい勢いで返事をしたら、そこには梨本さんが立っていた。
強い口調にビビったのか直立されてしまった。


「あ、ごめん」

「あの……国島さんから、川野さんを手伝うように言われまして」


困った顔をされて、私も困っちゃう。

なんでいきなり梨本さんが?
彼女の教育係は山田さんじゃなかったのかよ。

チラリと国島さんを睨むも、彼はすっかり仕事モードだ。書類片手に部長となんか話してる。
仕方ない。


「えっと、じゃあ宜しく。まずこの領収書、コピーとってくれる? その後、本物の方を経理に回して」

「コピーは何のために?」

「今後の資料! そのイベントに使った金額が分かるようにまとめるから」

「ああ、なるほど。はい、やってきます」


納得した風の彼女は、無駄な動作無く作業をこなし、数分後には再び私の前に立つ。


「出来ました」


早いな。
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