強引上司とオタク女子
「川野さん、どうかしました?」
「え? なんもないよ!」
いかんいかん、後輩に気を使わせるとか。
空元気で返事をすると、伺うように上目遣いで見られた。
「あの、……聞いてもいいですか?」
「ん?」
「川野さんって、……国島さんとお付き合いしてたりします?」
「はぁ?」
思わず大きな声が出ちゃって、慌てて口を抑える。
「や、あの。すいません、プライベートな事聞いて。でも朝も一緒だったし。……もしそうなら、私も気が楽っていうか」
ああ、あなたは国島さんを振ったほうだもんね。
「国島さんのこと、よろしくお願いします」
「はあ」
ペコリと頭を下げられてもな。
なんでそんなことあなたに言われなきゃならないの。
別に国島さんはあなたの保護下にいないでしょう。
一応顔には出さないように気をつけたけど、彼女の上から目線が気に入らない。
「私、彼の事傷つけちゃったから。幸せになって欲しいんです」
「ふーん」
偽善者……って思っちゃうのは、私の性格が悪いのか。
なんかモヤモヤする。
国島さんのことを分かった風に言われるのが嫌だ。
でも梨本さんは元カノなんだから、私よりはもちろん理解しているわけで。
そういう彼女が、彼は好きだったわけで。
……顔がこわばっているのが分かる。
社会人なんだから空気読めよーって自分で思うけど、上手く笑顔が作れない。
「……彼女ってか、からかわれてるだけ」
「そうなんですか?」
どこかホッとしたように笑う彼女。
なんか……私、梨本さんは嫌いかもしれない。