強引上司とオタク女子


 一日の業務が終わる。
チラリと見ると国島さんはまだ忙しそうに会議ブースで話し合いをしていた。

帰りますよ私は、待ったりなんてしませんから。

とは言え、何も言わずに帰るのも“彼女”としてはどうなんでしょう。
一応『お先に失礼します』とメールだけ入れて、会社を出た。

夕ごはん、どうしようかな。
この時間なら自炊できる。
節約は大事だしなぁ……なんて考えていたら、最寄り駅についたあたりで電話がなった。
おおう、国島さんじゃん。


『八重? 今どこにいる?』

「これから乗り換えるところです」

『俺、今会社出たとこ。ちょっと待っててくれたら一緒に帰れたのに』


知るか。
一緒に帰る約束なんてしてないでしょう。


『……飯食いたいなー』

「食べればいいじゃないですか。外食なら、私は今月そろそろ金銭的にヤバイので付き合いませんよ」

『じゃなくて。自炊するなら俺のも作ってよ』

「二人分も出す余力ありません」


今月金無いって言ってるだろうが、とキレ気味に返事する。


『わかってる。材料代は俺がだそう。それでどうだ』

「はあ」


材料代……は嬉しいかも。

いや、でも待った。
私の部屋、凄いことになっているよね?

ポスター貼りまくりだし、オタクがバレているとはいえ本棚とか見られたら終わる。


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