強引上司とオタク女子

うん。大丈夫かな。
なんとかなりそう。


「次は夕飯メニューか」


“彼女”が“彼氏”に作るメニューってなんだろう。

定番どころで肉じゃが?
それともハンバーグ?
いっそ豪勢にすき焼きとかかぁ……って、そんなお金がどこに!

ネットで探したりしてみるけど、美味しそうでも実力が伴わなさそうなやつとか、美味しいんだろうけど、見た目が茶色過ぎてイケてないとかばっかり。


「……困ったな」


途方にくれて、明日美に電話をかける。
こういうのは、彼氏持ちに聞くのが一番だろう。

電話をかけると、4コールくらいですぐ出てくれた。


『もしもし? 八重ちゃん?』

「明日美? お願いがあるんだけど」

『え? 何?』

「男の人が喜ぶレシピってどんなの?」

『えっと、男の人って言っても好みは人それぞれだと思うけど。……もしかして八重ちゃん』


そこでハタと気づく。
そうだわ。私、国島さんとこんなふうになったなんて報告、明日美にしてないよ。


「あ、あのねっ。まだ言ってなかったけど、あの」

『彼氏、出来た? 国島さん?』


明日美に言われるとなんか変な気持ち。


「うん……」

『……良かった。前に一緒にお食事した時、強引だけど気配りの上手な人だなって思ってたの。あの人だったら、八重ちゃんのこと大事にしてくれそう』


そう言われて、じわじわ広がる温かさ。
でも待って。明日美の声に癒されてちゃダメ。あの男は野獣だから。

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