強引上司とオタク女子
「できれば満腹にさせたいの」
エロい欲求まで封じる勢いで。満腹で満足して帰ればいいよ。
『男の人はお肉好きじゃない?』
肉食系であることには同意する。
「じゃああれかな。すき焼きとか」
材料代は国島さんだし、がっつりたかるのもありかな。
『それは豪勢だけど、八重ちゃんに作って欲しいってことは家庭料理が食べたいんじゃないの? 角煮とかは?』
「そんなに煮てる時間ない」
『じゃあ生姜焼きとか。照り焼きとかもいいかもね』
生姜焼きか……いいかもな。私が食べたいよ。
つか、うっかり今日の夕飯買ってこなかった。もうお腹すいたなぁ。
「うん。そうしてみる。困ったらまた電話していい?」
『もちろん。いつでもかけてきて』
「ありがとう」
ああ、やっぱり明日美はいい子だ。
三笠くんのプロポーズ作戦も頑張るからね。まだ構想中だから待ってて。
「じゃあ、今度は生姜焼きのレシピを」
クッククックというレシピ投稿サイトを眺める。
今は何でもネットで情報が入って楽だなー。
材料をメモしてようやく一安心。途端にお腹の音がググウと鳴った。
コンビニ弁当にしようかとも思うけど、もう歩くのも面倒くさい。
冷蔵庫をあさって、冷凍していたご飯をチンして食べる。
「……女子力無いなー私」
自然に飛び出したため息は、いつまでも重たくその場に鎮座していた。