強引上司とオタク女子


そして夜。
私は定時で会社を抜け、スーパーで買い出し中。

生姜焼き用にカットされたロース肉を買い、チューブ式の生姜や、小麦粉などを買う。
このレシピによると先にお肉に味をつけてから粉をつけるらしい。
昔家で出てきたのとは違う作り方だけど、なんとかなるだろう。

お味噌汁とサラダと……といろいろ買うとあっという間に凄い金額になっちゃう。

うん、これなら外食のほうが安くつくかも。
自炊って、人数いないと勿体無いだけだな。

時計を見ながら、家路を急ぐ。
国島さんが来る前に、ご飯を炊いて、生姜焼きとお味噌汁作って、部屋ももうすこし整えて。

ああ、時間がない。

バタバタと階段を駆け上がり、鍵を開けるのももどかしく部屋に飛び込み、かばんを投げ捨て、米を研ぐ。

スイッチを入れたところで着替えをしよう……と思って、真っ当な部屋着が無いことに今更気づく。

私の持ってるTシャツ、実はほぼキャラ物ばかり。
パッと見はわからないかもだけど、まじまじ見られたら絶対分かる。
まして、御影石くんに謎のヤキモチを焼いている彼ならば気づく! 絶対!

あああああ、普通の何か。
女の子っぽい何か。

仕方なく見つけ出したのはストライプのシャツとジーンズ。

オタク感は無くなったけど、これ、女の子らしくもない。
でも、仕方ないや。

脱いだ服を洗濯機に突っ込んで、すぐにお味噌汁作り。
そしてレシピを見ながらの生姜焼きづくり。

豚肉に小麦粉をつけてから焼くそのレシピに従っているうちに、私は粉だらけになる。


「あちっ」


油を入れすぎたのか、焼いているうちにはねて、手首の辺りを負傷。

ああ、たかが夕飯、されど夕飯。めげそうだ。
毎日できる主婦はエライなぁ。

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