強引上司とオタク女子
ドアチェーンを閉める音がして、「邪魔するぞ」と彼が入ってくる。
私の背中を押すようにして、後からついてきた。
「お、生姜焼きじゃん。美味そう。……いや、遅れるって連絡したら、今日はやめようとか言われるかと思って、直で家の前に行ったらお前も諦めがつくだろうと」
なんだそりゃ。
基本的な連絡にビビる彼氏ってどんなんだよ。
普段私がすごく冷たくしてるみたいじゃん。
「材料用意してからそんなこと言いませんよ」
「そうだな。判断が甘かった」
そうだよ。判断が甘すぎる。
苛々するわ、もう。
「信じられない。どんだけ必死こいて料理したと思ってんですか、掃除だって……」
ふわりと、背中から国島さんの腕が回ってきて、拘束されて動けなくなる。
ぎゃー、野獣。
ホントすぐ触ってくるのなんとかしてくださいよ。
「……お前、可愛いなー」
「はぁ? 何言って」
「だって心配してたんだろ。泣くほど」
「ちがっ」
「だって、この料理に玉ねぎ使ってねぇだろ」
……畜生。そういうことは気づかなくていいのよ。
悔しい悔しい悔しい。
私ばっかり余裕なくって嫌になる。
「離してくださいよ、私お腹すきました」
「んー、でも離したくない」
「離したくなくても離してください」
お腹なりそうだから。
グーグー言わせんのは女としてどうなの。
「許可を取ればいいんだったよな。……キスしていいか」
何をおっしゃるよ、野獣。
そして私の話を聞いていますか。