強引上司とオタク女子

「あ、待て。怒るな、落ち着け。腹がへるとよくない。食おうぜ」

「……それはそうですね」


腹がへると苛々するには同意するわ。

ご飯とお味噌汁をよそると、国島さんが運んでくれる。

案外、動くな。
亭主関白ってイメージ持ってたけど違うんだなー。


「うん。うまい。ありがとうな」


食事中、5回は聞いたそのセリフに、私の意地を張っていた気持ちもほぐれていく。

うん。
許してもいいや。

いつまでも拗ねてたって何にも楽しくないし。


「今度から、遅くなる時はちゃんと連絡入れてくださいね」

「ん。分かったよ。お前案外心配症なんだな」

「普通ですよ」


普通がどんなものなのか知らないけど、遅けりゃ心配するだろう。

食事を終え、片付けも終え、お茶を入れて二人で飲む。

テレビもそれなりに面白く、クッションを背中にあてて二人で並んで観る。
くつろぎの時間が心地いい。

……でも、帰んないのか? この人。

私の疑問を察知したかのように、国島さんが私にもたれてきながらポツリといった。


「やっぱ、泊まっていい?」


懲りないな。


「ダメです」

「なんで」

「なんでって……まだ早いから」

「その基準ってなんなんだよ」


知らないけどさ。
とりあえずディープキスにビビる私ができることじゃない気がするの。


「女には色々あるんです」

「そうかぁ?」


国島さんの目が泳いだ。おのれ、前カノと比べているな?
頭に、梨本さんが浮かんで、勝手に顔が引きつる。
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