柚と柊の秘密
「戸崎」
急に呼ばれて、びくっと飛び上がった。
だってそいつは、今一番話したくない女だから。
俺、どんな顔して山形に会えばいいんだろう。
今まで気にしたことなんてなかったのに、酷く自分が愚かに思えて恥ずかしい。
「……んだよ」
俺は俯き加減で振り返る。
山形の顔をしっかり見ることが出来なかった。
だけど……
「あんた、ギターや女遊びはいいけど、来月の試合はどうする気?」
いつもの山形の超ウザい説教が始まる。
いつもの……
正直、ホッとした。
ここのところの山形、おかしかったから。
そのギャップにやられて変な気を起こしてしまったのだろう。