柚と柊の秘密
「柊君、おはよっ!」
「あ、ナナコちゃん、おっはぁ~」
俺は巻き髪の女子に手を振った。
彼女は顔を紅くして俺を見る。
いや、彼女だけではない。
すれ違う女子みんながあんな目で俺を見るのだ。
顔はいいほうだと自覚している。
父親譲りのいわゆるイケメンだ。
この顔のおかげで、俺は人生得している。
「柊君、超カッコイイ!」
だいたいの女は落ちる。
「柊!昼休みサッカーすっか?」
男からも注目の的だ。
そして、
「戸崎!赤点のレポートは?」
頭は悪いけど……
「センセー!マジごめんっ!!
キャプテンだから忙しくてさぁ~」
「言い訳にならん!」
「ごめんって!
明日絶対出すからぁ!」
「……絶対だぞ!」
先生まで手懐けている。
俺、最強説!
こんな俺が、もちろん高校生を謳歌していないはずがない。
女、友達、困るものはない!
そう思っていた。