その瞳をわたしに向けて
「杉村常務って、ああ………あの人また面倒臭い事を……」
たぶん余計な事まで色付けたんだろうと、松田の説明の言葉を待つ美月から目を逸らし、小さく舌打ちをする
「別に…………」
面倒臭そうに頭を掻く松田。そんな様子で言い訳を待っていると、エレベーターの辺りから声が聞こえてきた。
誰か帰る為に降りて来たのかと、コンクリートの柱から顔を出そうと美月が動くと、それを隠すように逆にかげの方へ肩を引き寄せられた
何で隠れる?
声を出すなと、口に人差し指を立てる松田
柱に隠れたまま覗き見ると、杉村常務と立花が向かに停車させてある車に乗り込んだ
ちゃんと仲直り出来たみたい。二人で笑い合いながら話している。
「あ………」
運転席の常務が助手席の立花の頬に手を伸ばし、いとおしそうな目で見つめ、身を乗りだしキスを交わした
さすがに見てはダメだと、柱の影に身を隠すと、美月の頭の上にいる松田も複雑な顔をしていた
見て無くても二人行動が分かるのか、冷たい目をして明後日の方を向いていた。