その瞳をわたしに向けて

松田の帰るぞっと言う声に後ろを振り返り見上げる美月は、そのままの体勢で聞いてみた

「松田さん、ここに立花さん連れてきた事あります?」

一瞬、はぁっ?と眉間に皺を寄せた 

「連れてくる訳ないだろ」

なんで『わけない』のかは分からないけど、やっぱり松田さんの連れてきた綺麗な人は、立花さんではないんだ


「美月ちゃん、また来てね。」

「はい、ママ御馳走さまでした。おやすみなさい。」

お互い小さく手を振って笑顔を見せた



「随分仲良くなったんだな」

車を発進させながら声を掛けた松田

…………うん、と気の抜けた声がしたまま静かになったので顔を覗くと、助手席で、重たそうな瞼と格闘中の美月

お腹がいっぱいになった事で眠くなってきたんだろう


暫く黙って走らせていると、完全に運転席に顔を向けてシートに身体を沈め、寝息を立てていた


「…………毎回全く、無防備過ぎるだろ」

呆れた声を出す松田
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