その瞳をわたしに向けて
低音の声と一緒に美月の目尻に溜まった涙が、俯いた先にポタリッと落ちる。

顔は笑っていられるのに、頬が濡れる………

それを、伸びてきた松田の右手の親指が拭う

「……………っ」

大きな溜め息をつき、松田が左手も美月の肩にまわし引き寄せて、無理に自分の胸の中へ顔を埋める

「ちょっ…………」

引き寄せられた胸に両手を挟んで軽く抵抗するが、大きな腕の中にスッポリと納まると、背中をポンポンとまるで小さな子供をあやすように優しく叩かれた

「………………………」

暫くしておとなしくなる美月、力の入っていた頭もゆっくり傾けて、松田の胸に凭れてみた。

なんだか少し落ち着く…………

夏用のスーツから、意外に筋肉質な胸板に思わず意識してしまう。

「兄貴の子供、こうすると泣き止むんだ」

「!?」

顔を上げると、意地悪そうに笑う松田の顔

「その子。何歳なんですか?」

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