その瞳をわたしに向けて


ううっ……とっ届かない


かなり上の方まで書かれてあったため消しきれない。


なにか台の上に乗らないと無理かなぁ…


そう思った瞬間、目の前が陰になり手に伸ばしたイレーザーが取り上げられた。

松田が美月の後ろに立ち覆い被さる様にボードの上の方を消しだした。

「……………っ!」

ちっ近い……………

ホワイトボードに寄って松田から身体をずらしてそこから抜け出そうとすると、松田の反対の手がそれを遮った。


「……お前、ずっと俺の事避けてるだろ」

低い小声がそう落ちてきた


この状況に固まったまま、声が出せず俯いてふるふると首を降る。



他の社員たちには松田の陰になって美月の姿が見えないらしい

「椅子がいくつか足りません」と、後ろから声が掛かるとそのままの態勢で


「総務に報告してみんなで下の階から持ってきてくれ」


そう言っていつの間にか会議室は二人だけになってしまった。



消し終わっているはずのホワイトボードから手が離れない

「……………」

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