その瞳をわたしに向けて
「………」

予想外の質問と、父親の名前で美月の頭が固まった。

体勢を立て直し、杉村常務の前で小さく溜め息をつく


「やっぱりそう言うことはちゃんと分かっているんですね……」


「社員の個人情報とはいえ清宮は、イズミ本社でもトップの提携会社だからね。しかも運用資産はうちよりはるかに上だし、正直父親の会社の傘下でも良かったんじゃないのかと思ってね……」


「………」


「そんな清宮のお嬢様をまさか入社させない訳にはいかないしね」



清宮コンツェルンは、いくつかの事業を手広く扱う団体企業の頂点にある財閥だ。

ホテル、レジャー施設、外食産業等その他
いろいろ大手企業の象徴である

その代表取締役を祖父から受け継いだ父、清宮亜門  そして今、兄の清宮保は外食部営業部長として在籍している


「………私としては父の会社であって、関係ないつもりでいるんですけど……」

少し不貞腐れた仕草を見せる美月

それに対して淡々としている杉村常務

「さすがに無視は出来ませんからね」


面白く無さそうにまた溜め息をつく美月

「結局そう言うことなんですよ、清宮の名前があることで傘下の会社に入ればそれはそれで特別扱いされ、周りの人達を困らせるだけですから……」


「亜門氏にとったら大事な娘さんだからね、親としては何でも手を回すはずですよ」


「………どういう事ですか?」

常務の意味ありげな言葉に眉をひそめる

話し辛そうにゆっくりと杉村常務は美月の方に顔を向けた

「………君は本当に何も知らされていないんだね」


「………?」
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