その瞳をわたしに向けて
動揺の照れ隠しに何となくテーブルにある乾杯の時に注がれ、口をつけていないビールに手を伸ばした


「別に、清宮さんの思うようにしたらいいよ。そのうち痺れを切らしたうちの奴らが何か言って来るかもしれなから………」


そう言いながら、美月の手に取ったビールのコップをさりげなく横から取り上げた

「……あっ」

顔を上げるとそのビールをテーブルに置いて、いつ注文したのか、店員の持ってきたオレンジジュースを美月の前に置いた


「お酒、飲めないでしょ、こうした会社の飲み会は女性はあまり飲まない方がいい。誰か責任持って家まで送ってくれる人がいれば別だけどね」

……だからオレンジジュースって………結局子供扱いされてるじゃん

オレンジジュースのコップを両手で持ちながら俯いて口を尖らす美月


「立花さんは、杉村常務が送って行くからいいんですか?あんな飲み方してますけど」

クスッと笑いそんな美月の頭をふわりと大きな手で撫でた後

「まあね……」

いつもより優しさに増した笑顔を返してきた

「後はゆっくり楽しんでいくといいよ。僕はそろそろ失礼するから」

そう言って立ち上がり、出口の方へ向かうのではなく、真っ直ぐ立花の座る席へ向かった。
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