その瞳をわたしに向けて
「じゃあ、お疲れ様でした」とさっそうと、次へ行ってしまった。
「頑張るよな、あの子。事務所で一番忙しいアラフォーシングルの神埼さんに付いて回るなんて…………」
行ってしまった二人を見送りながら一人の撮影スタッフが呟く
「でも、神埼さんが彼女を連れてくるとちょっと現場が和むよなぁ。顔に似合わず一生懸命なところが萌えるよな。」
美月の話に共鳴するように、近くにいたスタッフも片付けの手を止める
「ははっ、ひそかに目を止めてる奴いるからなぁ…………でも、ほら彼女指輪してるだろ?確か『カル○ィエの限定リング』あれは、さすがに自分では買わないだろ。」
そう言って左手の薬指を指差した
「左手の薬指かぁ………」
「私にはこんな指輪買ってくれる彼氏がいるのよってか?してるリングはプレミアム品らしいぜ。撮影のモデルさん達でさえ騒いでたからなぁ。どんな金持ちの彼氏だって………」
「さすがに自分より高価なプレゼントする男に対抗する奴はいないよなぁ…………
彼女を超高級車が向かえに来てたって、見た奴も騒いでたしなぁ………」
相手は医者か弁護士か芸能人か?なんて溜め息つきながら話す二人のスタッフ
「すみません、ここの撮影はもう終わりですか?」
その二人のスタッフに、何気にそう訪ねる背の高いスーツの男性に二人は一瞬目を見張る
「ええ………もう終わりました。」
「そうですか」
そう言って行ってしまった男性
「ええ………と、撮影モデルってもう早々と撤収したよなぁ」
「ああ、それに今日の撮影のモデルって女性だけだったはずだけど………」
何となく、茫然と立ち竦む二人