その瞳をわたしに向けて
次の瞬間、その場から逃げる自分がいた。
顔が急に強張って、脚と肩だけが鈴政の扉から飛び出していった。
「美月っ!!」
………………きっと幻聴だっ
聞こえない、聞こえない、聞こえないはず
追い掛けてくる声があの人の声に聞こえるはずがない。
だって……………いるはずないもん。
ロサンゼルスで、結婚して、幸せになってるだろう剛平なんてっ!!
ああ…………きっとまだダメなんだ、こんな幻聴が幻覚が起こるなんて…………
はぁ、はぁ…………
結構疲れてたから、もう走れない………
「美月…………っ?」
走れなくて、止まってしゃがみ込んで
でも、まだ聞こえてくるその声に……………
耳を塞いで目を瞑った。