その瞳をわたしに向けて

暫く胸の中に抱え込まれた後、徐に美月の左手首を掴み上げてきた。


「えっ、痛っ」

「でっ? これ、誰に貰ったんだ?」


美月の左手の薬指の指輪を目の前に持ってきて、眉を歪ませる松田


「俺の結婚の話でお前、誰か男作ったのか?」

「へっ? 違っ…………」

「それだったらそれで、俺が話をつけてやる。見合いだろうが何だろうが兎に角、そいつに会わせろ。」


さっきまですごく優しい声だったのに、急に今度は凄みの掛かった声色に変わった

美月の薬指から、その指輪を抜き取ろうとする松田に、阻止するように手を引いた


「ダメっこれは…………」


そんな美月の態度にムッと口を曲げる


「そんなに大事なものか?だったらもういい………」

美月の掴んでいた手を放した



「だって就職祝いなんだもんっ兄さんからの」

「えっ?」

「仕事の時は左の薬指に着けてれば、男避けになるからって…………」

美月の言うことに目を丸くする


「………………なるほど確かにそうだが、それにしたって、妹にカル○ィエの限定リングとはねぇ………しかもプレミアム品」


口を尖らせながら首を傾げる美月



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