キミに出会うまで
その日のランチで、明日香先輩とひとみちゃんに報告した。


「PB商品って、うちのオリジナルのあれですよね?」


PB(プライベートブランド)商品は、自社開発した商品で、一般に流通しているものよりも安いから、人気がある。


「でも確かに、渡辺さんの成績はいいらしいよ」


「そうですか」


「元カレと今カレが同じ部屋にいるって、気まずいですよね」


「渡辺さんに、必要以上に近づかないようにしてれば大丈夫だよ。


渡辺さんは、ゆうと森さんが付き合ってるって知らないんだし」


「はい」


「あとは、優花先輩の気持ちは変わらないってことを、森さんに伝えればいいんですよ」


「うん、そうする」




その日の夜、優樹の部屋で夕飯作って待っていたら、優樹が帰ってきたのは21時近かった。


「お帰り、お疲れさま」


「・・・ただいま」


「今日はごめんね、不安にさせた?」


「不安っていうか・・・悪い、先に風呂入ってくる」


優樹もきっと、混乱してるんだろうな。



お風呂から出ると少し落ち着いたのか、


「優花ごめん、俺さ、冷静になれなくて」


優しく抱きしめてくれた。


「優樹は悪くないよ、私だったらヤキモチやいておかしくなりそうだもん」


「俺だって妬いてんだよ」


背伸びして、私から、そっとキスした。


「大丈夫だよ、私が優樹を好きな気持ちは変わらないから」


安心したのか、夕飯を残さず食べてくれた。



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