キミに出会うまで
「え、でも・・・」


私が迷っているのを見ると、部長がすかさずストライクの直球勝負にきた。



「もちろん、手当も出るよ、少しだけど」



「やります!」


後悔することになるとも知らず、私は返事をしてしまっていた。




森さんっていう社員も知らなかったし、興味もなかった。


それにしても、本社システム部にやられた感じだ。


きっと、私が文句ばかり言うから、嫌がらせのつもりなんだろう。


文句言われないような、完璧な発注システムを作ればいいのに。



それはともかく。



小塚課長や佐々木主任は、パソコンがあまり得意じゃない。


広田さんは奥さんが出産したばかりで、明日香先輩は結婚してるから、いつ妊娠してもおかしくない。


だから、すぐには結婚しそうにない私ってことか。


消去法で私になったんだと気づいたのは、返事をした日の、自宅でくつろいでいた夜だった。


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