キミに出会うまで
心音
「俺さ、優花のお母さんに電話したよ」


「えっ、なんて?」


「僕が至らないせいで、優花さんを傷つけてしまいました、申し訳ありませんって」


「全然知らなかった」


「お母さんも、優花のこと心配したけど優樹さんなら大丈夫って言ってくれて、しばらく様子をみますって」


「それで、何も言わなくなったんだ」


「和真さんにも、しばらく時間かかるけど、整理したら必ず優花を迎えに行きますって言ったから、土屋さんと水野さんにも伝わったと思う」


「ふたりにも放置されてたもん」


「ほんとはさ、マンションも売ろうかと思って、いろいろ検討したんだ。


でも、金額が大きいから、決断できなくてさ。


それで、余計に時間がかかっちゃって。


優花、マンションも売らないと、納得できない?」


「そんなこと思ってないよ、ここまでしてくれて嬉しかった」


「そっか、よかった」




優樹も私も、相手を想って、悩んで。


つらい3ヶ月だったけど、きっと笑いあえる思い出になる。


もう絶対に、この手を離さない。




思わず、優樹の手をギュッと握った。


優樹は、私の顔をじっと見て、


「優花、ここで一緒に暮らさない?」


って、ささやいた。



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