キミに出会うまで
「よろしくお願いします」


少し照れくさかったけど、ペコリとおじぎしながら返事した。


「よかった、断られたらどうしようかと思った。


明日さっそく、優花のご両親に挨拶に行くから」


「えーっ、明日?」


「善は急げ、っていうだろ」


「でも、いくらなんでも、急すぎない?」


今朝まで落ちこんでた娘が、翌日彼氏と同棲したいって言うなんて。


「だって、今日は泊まるだろ?


そしたら、お母さんも仲直りしたって思うんじゃない?」


「え、泊まるの?」


「当たり前だろ、帰さねーよ」


「じゃあ、お母さんにメールする」


「あー、落ち着いたら腹へった、なんか食べに行くか」


「そうだね」



ふたりで手をつないで、近所の居酒屋へ行った。


これからは、『おはよう』も『いってきます』も『ただいま』も『おやすみ』も、ずっとふたりなんだね。


今日の胸のトキメキを忘れずに、ふたりで暮らしていこう。






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