キミに出会うまで
隣の駅っていっても、歩いて15分くらいだけど。


歩きながら、住んでる場所とか、学生の時の話とかをしてたら、あっという間だった。



「ここです」


私が選んだのは、韓国料理のお店。


ランチで来たことはあったけど、夜は初めてだった。


「いいじゃん、俺辛いの大好きなんだよなー」


初めて、ゴキゲンな声を聞いた気がする。




とりあえず、ビールを頼み、なぜか乾杯した。


さっき話していた流れのまま、学生時代の話になり。



偶然、同じ大学出身ということがわかった。


森さんはもちろん理系なので、キャンパスは離れてたけど。



人間、いくら苦手でも、何か共通項があると盛り上がるもので。


好きな食べ物や、映画のこと。


今まで行ったことのある旅行先。


話題が尽きなくて、ごはんもおいしくて、楽しいお酒の席だった。




何杯目かのビールを飲み終えた頃、急に真面目な顔になった森さんは、突然言った。




「メシおごるっていうのナシにするからさ、ちょっと俺の頼みきいてくんないかな」


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