気になるパラドクス
「ミリーのモデルって、女の子がモデルなんですよー?」

「へぇー……?」

女の子? 確かに“雌”の感じだなーと思ったけど……。
ふわふわモコモコのイメージの女の子って、私と全く逆のイメージじゃないか?

そう思って、ちらっと黒埼さんを見ると、お寿司を喉に詰まらせたのか、顔を真っ赤にして胸の辺りをゴンゴン叩いていたから驚いた。

「ちょ……っ! 大丈夫?」

背中をバンバン叩くと、ゴホゴホしながら黒埼さんは片手を上げる。

「……だ、大丈夫だ。真理が変なこと言うから」

「ミリーのモデルって女の子なの?」

一瞬だけ無言で見つめ合って、黒埼さんの視線がふよふよ~っと泳ぎ始めたからピンときた。

「わかった。初恋の女の子でしょ」

「ち、違う! 二番目に好きになった女性だ女性!」

……好きになったことには代わらないじゃないか。素直な人だなー。

ちょっと呆れたら、いつの間にかどこかに行っていたお父さんが戻ってくる。

「あったぞ」

「何が?」

真理さんが不思議そうに首を傾げ、ちょっぴり涙目の黒埼さんがお父さんが持っている白いアルバムに眉をひそめた。

「それって、イベントの写真?」

「イベントの写真?」

なんのイベントなんだろう? 家族イベントの写真なら見たいけど。
黒埼さんはいつから大きかったんだろうとか。

「フロッグすてっぷのイベント写真。昔は何かするごとに撮っていたから」

「へぇー?」

感心していたら、お父さんがアルバムを開いて指で何かを辿る。

「たぶん、くじ引きで二位を出したなら、写真に撮っているはずだと思ってね……ああ、これかな?」

お父さんがアルバムを開いたまま渡してくれたけど、写真を撮った記憶なんて全く無い。

でも、覗き込んだアルバムにいるのは、紛れもない私だった。
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