気になるパラドクス
初々しさを大事にされたかと聞かれているんであれば、それは無いとしか言いようがない。

そもそもこんなキツい顔をしているし、どちらかと言うと男の子に混じって平等に扱われた結果、当たり前に甘やかされた経験も少なかった。

やっぱり可愛い女の子たちとは違うから、昔からどうしたことか大人扱いが多かったし、19歳の頃には25歳とか言われたし。

私だって女なんだし、照れる事もあるんだけどさー。

「うわー……もうなんかムカつく」

「え?」

いつの間にか俯いていた顔を上げると、黒埼さんはムスッとした表情で頬杖をついている。

「見た目がサバサバ系だからって、中身全然違うくせに、なんでそんな扱いされるかな」

そんな扱いって?

キッチンに戻って、冷蔵庫にペットボトルをしまってから曖昧に微笑んで振り返る。

「え……っと? まぁ、こんな奴なんで?」

「そういう問題じゃない。女は可愛がるもんだぞ」

「……か」

可愛がるもんですかっ!?

どうなのその発言って!

「ああ。なるほど、初めてな対応されっと赤くなるんだ?」

ちょっとだけ面白そうな表情をしたから、赤くなった顔を両手で隠した。

「そこは冷静に判断しないでー!」

その場にしゃがみこむと、クスクス笑いが聞こえる。

黒埼さんて、ある意味正論だけど、まったくそうは聞こえない事を堂々と言うよね。

「ご、ご飯作るから、テレビでも見ていて!」

「やだ。俺は構ってちゃんだから」

「自分でそういうこと言わない! いい大人でしょ!」

「大人だから言えるだろ?」

ええ? そうは思わないんだけど。
子供の方が言いやすくない?

「でも、あまりからかうと、今は怒られそうだからやめておく」

……しばらくすると、バラエティ番組を見ているらしい、賑やかなテレビの音が流れてきた。
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