気になるパラドクス
そっと顔を覗かせると、不貞腐れたような表情でリモコンをいじっているのが見える。
「……ごめんね?」
「謝るな。美紅が謝ることじゃない」
そう言われても、ちょっと困るから頭をかいた。いまいち怒っている理由がわからない。
付き合っているなら、お泊まりも普通のことじゃない?
子供のお付き合いってわけでもないんだから、いろんなものの延長線上にはエッチも含まれると思うんだ。
黒埼さんだって“抱き潰す”とか、飲み会で言ったくらいだし。
とりあえず冷蔵庫にしまうものはしまっていると、カタンと小さな音がして、それから立ち上がった黒埼さんが見えた。
「寝室見てもいいか?」
「だめ」
「お前の線引きがわからん」
うーん。線引きって言うか、何て言うか……さ?
「土日ってまだ数日後だから、それくらいには心構えが出来るよ。さすがに付き合ってすぐにどうこうするのは、私でもちょっと無理」
「俺だって無理だよ。バカだなお前も」
あっさり人のことバカにしないでよ。
「じゃあ寝室見て、どうするのよ?」
「興味半分、仕事半分。前に女の部屋に入ったのって、20代の終わり頃の話だから」
……え。ええええ?
「……そんなに驚いた顔することないだろ。俺は実は奥手なんだ」
どこがだよ。全く信憑性がないよ?
「いいなーと思う女がいても、話しかけることも出来なかったし。そのうち来なくなっちゃったからなー」
「今の女の前で、昔の女の話をするのはデリカシーないわよ」
冷たい視線で見返すと、黒埼さんが皮肉げに笑いながら近づいてくる。
無言で彼を見上げるけど、構わずどんどん近づいてくるから、そのままどんどん私は下がる。
「く、黒埼さん?」
「だから……」
だから?
「次にいいなと思う女がいたら、絶対に逃がさない」
顔の横に手を置かれ、見上げた私と見下ろす彼の距離はほんの数センチ。
目を瞑ると、ゆっくりと唇が重なった。
黒埼さんの唇は驚くぐらい優しくて、でも怖いくらいに貪欲だった。
あっという間に深まっていくキスに少しだけ戸惑うと、笑うような気配がして、それから抱きしめられる。
「……ごめんね?」
「謝るな。美紅が謝ることじゃない」
そう言われても、ちょっと困るから頭をかいた。いまいち怒っている理由がわからない。
付き合っているなら、お泊まりも普通のことじゃない?
子供のお付き合いってわけでもないんだから、いろんなものの延長線上にはエッチも含まれると思うんだ。
黒埼さんだって“抱き潰す”とか、飲み会で言ったくらいだし。
とりあえず冷蔵庫にしまうものはしまっていると、カタンと小さな音がして、それから立ち上がった黒埼さんが見えた。
「寝室見てもいいか?」
「だめ」
「お前の線引きがわからん」
うーん。線引きって言うか、何て言うか……さ?
「土日ってまだ数日後だから、それくらいには心構えが出来るよ。さすがに付き合ってすぐにどうこうするのは、私でもちょっと無理」
「俺だって無理だよ。バカだなお前も」
あっさり人のことバカにしないでよ。
「じゃあ寝室見て、どうするのよ?」
「興味半分、仕事半分。前に女の部屋に入ったのって、20代の終わり頃の話だから」
……え。ええええ?
「……そんなに驚いた顔することないだろ。俺は実は奥手なんだ」
どこがだよ。全く信憑性がないよ?
「いいなーと思う女がいても、話しかけることも出来なかったし。そのうち来なくなっちゃったからなー」
「今の女の前で、昔の女の話をするのはデリカシーないわよ」
冷たい視線で見返すと、黒埼さんが皮肉げに笑いながら近づいてくる。
無言で彼を見上げるけど、構わずどんどん近づいてくるから、そのままどんどん私は下がる。
「く、黒埼さん?」
「だから……」
だから?
「次にいいなと思う女がいたら、絶対に逃がさない」
顔の横に手を置かれ、見上げた私と見下ろす彼の距離はほんの数センチ。
目を瞑ると、ゆっくりと唇が重なった。
黒埼さんの唇は驚くぐらい優しくて、でも怖いくらいに貪欲だった。
あっという間に深まっていくキスに少しだけ戸惑うと、笑うような気配がして、それから抱きしめられる。