気になるパラドクス
「一応、磯村くんに来たこと伝えるけど、あなた……磯村くんと仲がいいの?」
「まぁ、今回の限定コラボ持ちかけてきたの彼だし。一見冷たい人間に見えて話しやすいし飲みにも行ったし」
言いながら彼は、応接セットのソファに座って、大きなバックから見覚えのあるスケッチブックとペンを取り出している。
暇潰しにデザインでもするのかな?
「美紅。今日は定時上がりか?」
「あ。うん……たぶん」
「なら帰りに送る。うちに顔出せよ」
……フロッグすてっぷに? 会社からだと遠回りなんだけど。
スラスラと黒埼さんはスケッチブックに何かを書いて、ビリッと一枚破った。
「工房の方。住所これだから……来い」
渡されたのは一枚のスケッチブック。
書いてあるのはきっと“工房”の住所なんだろう。
案外綺麗な文字だな。
そう思いながらそれをたたんでポケットにしまうと、ノックの音がして後輩の一人がお茶を持って入ってきた。
「……失礼します」
そうっと入ってきた彼女は、私と黒埼さんの立ち位置を確認してから、どこか残念そうにしている。
……君らいったい、何を期待していたんだ。
足を組んで座りながら飄々としている黒埼さんと、目を細めて半笑いの私に気がついて、彼女はお茶を置くと顔を真っ赤にして帰っていった。
「なんだあれ?」
まぁ、挙動不審だよねー。お互いに閉まったドアを眺めながら苦笑する。
「最近、時任さんの発言のお陰で、変な噂になってるのよ」
「へえ? どんな噂だ?」
「私が原くんと時任さんを手玉に取りながらも、黒埼さんと付き合い始めたらしいって感じ?」
「ふーん」
声が低くなって、ぎょっとして黒埼さんを見下ろした。
不機嫌そうに口はへの字になってるし、眉間にしわが寄っている。
「原って言うのはわかる。きっと眼鏡の男子だろう。んで? 誰だ、その時任さんって野郎は」
時任さんも眼鏡男子です。
「まぁ、今回の限定コラボ持ちかけてきたの彼だし。一見冷たい人間に見えて話しやすいし飲みにも行ったし」
言いながら彼は、応接セットのソファに座って、大きなバックから見覚えのあるスケッチブックとペンを取り出している。
暇潰しにデザインでもするのかな?
「美紅。今日は定時上がりか?」
「あ。うん……たぶん」
「なら帰りに送る。うちに顔出せよ」
……フロッグすてっぷに? 会社からだと遠回りなんだけど。
スラスラと黒埼さんはスケッチブックに何かを書いて、ビリッと一枚破った。
「工房の方。住所これだから……来い」
渡されたのは一枚のスケッチブック。
書いてあるのはきっと“工房”の住所なんだろう。
案外綺麗な文字だな。
そう思いながらそれをたたんでポケットにしまうと、ノックの音がして後輩の一人がお茶を持って入ってきた。
「……失礼します」
そうっと入ってきた彼女は、私と黒埼さんの立ち位置を確認してから、どこか残念そうにしている。
……君らいったい、何を期待していたんだ。
足を組んで座りながら飄々としている黒埼さんと、目を細めて半笑いの私に気がついて、彼女はお茶を置くと顔を真っ赤にして帰っていった。
「なんだあれ?」
まぁ、挙動不審だよねー。お互いに閉まったドアを眺めながら苦笑する。
「最近、時任さんの発言のお陰で、変な噂になってるのよ」
「へえ? どんな噂だ?」
「私が原くんと時任さんを手玉に取りながらも、黒埼さんと付き合い始めたらしいって感じ?」
「ふーん」
声が低くなって、ぎょっとして黒埼さんを見下ろした。
不機嫌そうに口はへの字になってるし、眉間にしわが寄っている。
「原って言うのはわかる。きっと眼鏡の男子だろう。んで? 誰だ、その時任さんって野郎は」
時任さんも眼鏡男子です。