気になるパラドクス
「え。なんだ、どうした? 何があったんだ? なんなんだ?」
そう言いながら、へばりついた私を引きずるように室内に入れてくれる。
冷たい風が消えて、彼の暖かさに包まれた。なんだか木の匂いがする。好きな匂いかも。
そのまま慌てている黒埼さんの胸にグリグリ頭を押し付けて、ぎゅうぎゅうと抱きついていたら……。
「……私は帰った方が良さそうだね」
けっこう近くで、男の人の声が聞こえて固まった。
「ああ。悪いけどそうして。ちゃんと落ち着いたら紹介するから」
黒埼さんが答えて、頭の中にハテナマークが浮かんでくる。
今“紹介する”って言った?
「構わんよ。今日は帰ってくるのか」
「……あー。まぁ、わかんねぇ」
彼がそう答えて、誰かが横を通った。
それから、パタンと背後でドアが閉まる音が響く。
……えーと?
「……今の誰ですか?」
抱きついたままボソボソと聞いたら、頭上でクスリと笑われた。
「親父だけど」
あっさり答えられて、一気に体温が大爆発。
誰か! 穴を掘って私を埋めてください!
もう、やだー。絶対に嫌だー。誰か助けてー!
「おお? 慌て始めたか?」
そりゃそうでしょう? いきなり人前で、会うなり抱きつく女なんていないって!
さぞかし驚かれた事だろう。きっとなんて女だと思われたことだろう。
どっちかって言ったら驚愕だよね?
私が逆の立場なら、目がきっと点になっちゃうよ!
慌てながらもそのまま黒埼さんに抱きついていたら、ポンポンと頭を叩かれて、それから優しく抱きしめ返された。
「気にすんな。うちの親父は俺がいきなりフロップ描いても引かないような男だから」
「………?」
それはどういう意味でだろう?
確かに、こんな大男がフロップみたいな可愛いモノをデザインしたって、一瞬では理解しがたいけど。
「妹は“気持ち悪っ”って、一刀両断だったしな。それ考えると、お前の反応も面白かったが。受け入れられるってのは嬉しいもんだよな?」
……そう、だね。人に否定されるのは辛いもの。誰だってそうだと思う。
「そろそろ顔見せろ」
腕を緩められて、ゆっくりと顔を上げると優しく微笑んでいる彼と目があった。
そう言いながら、へばりついた私を引きずるように室内に入れてくれる。
冷たい風が消えて、彼の暖かさに包まれた。なんだか木の匂いがする。好きな匂いかも。
そのまま慌てている黒埼さんの胸にグリグリ頭を押し付けて、ぎゅうぎゅうと抱きついていたら……。
「……私は帰った方が良さそうだね」
けっこう近くで、男の人の声が聞こえて固まった。
「ああ。悪いけどそうして。ちゃんと落ち着いたら紹介するから」
黒埼さんが答えて、頭の中にハテナマークが浮かんでくる。
今“紹介する”って言った?
「構わんよ。今日は帰ってくるのか」
「……あー。まぁ、わかんねぇ」
彼がそう答えて、誰かが横を通った。
それから、パタンと背後でドアが閉まる音が響く。
……えーと?
「……今の誰ですか?」
抱きついたままボソボソと聞いたら、頭上でクスリと笑われた。
「親父だけど」
あっさり答えられて、一気に体温が大爆発。
誰か! 穴を掘って私を埋めてください!
もう、やだー。絶対に嫌だー。誰か助けてー!
「おお? 慌て始めたか?」
そりゃそうでしょう? いきなり人前で、会うなり抱きつく女なんていないって!
さぞかし驚かれた事だろう。きっとなんて女だと思われたことだろう。
どっちかって言ったら驚愕だよね?
私が逆の立場なら、目がきっと点になっちゃうよ!
慌てながらもそのまま黒埼さんに抱きついていたら、ポンポンと頭を叩かれて、それから優しく抱きしめ返された。
「気にすんな。うちの親父は俺がいきなりフロップ描いても引かないような男だから」
「………?」
それはどういう意味でだろう?
確かに、こんな大男がフロップみたいな可愛いモノをデザインしたって、一瞬では理解しがたいけど。
「妹は“気持ち悪っ”って、一刀両断だったしな。それ考えると、お前の反応も面白かったが。受け入れられるってのは嬉しいもんだよな?」
……そう、だね。人に否定されるのは辛いもの。誰だってそうだと思う。
「そろそろ顔見せろ」
腕を緩められて、ゆっくりと顔を上げると優しく微笑んでいる彼と目があった。