気になるパラドクス
ああ、もう。なんて言うかとても言いずらい。

世の中の女子は、どうしてこんな恥ずかしいことを言えるんだろう?

可愛らしくなんて全然言えないし、私が可愛らしくを狙ってもひかれちゃう事の方が多いわけで。

でも、黒埼さんはきっとひかない。
それはわかっているけど、なかなか言葉が出てこない。

可愛らしくが無理なら、格好良く言ってみる?

白い歯を見せながら、キラキラして言ってみる?

いや、ダメでしょう?
格好良くなんて、それこそカッコいい男の人からならオーケーだろうけど、私が言っても締まりがないって。

あああああ、どうしよう?

冗談ぽく? ううん。冗談じゃないからそんな風にも……。

「美紅。言いたいことあるなら、言った方がいいぞ? 俺は察しのいいほうじゃないし」

そう言われる段階で、私も黒埼さんが察しのいい方じゃないとは……。

いや、わかっていて言っている?

たまにいるって聞く、わかっていながら聞きたがるような意地悪な人もいるんだし、黒埼さんはどっちだろ?

「美紅?」

多少イラッとした口調が聞こえて、それは無いんだな……と、ちょっとガッカリした。

……そうだよねー。
以心伝心なんて、とても長い時間を過ごしてきた人たちの事を言うんだ。
言いもしない事を、わかれって方が難しい。

だから、思いきり息を吸い込むと、思いきり小さな声で呟いた。

「……きなの」

「は?」

「好きなの」

「何が?」

聞き返された!?
ええー? そこ聞き返しちゃう人~?

驚愕を顔に貼り付けて見上げると、キョトンとした表情が見えた。

「このシチュエーションで、何を私が好きだと言うの?」

「え。でもお前。今日は挨拶しに行くの嫌って言った段階で、今度挨拶しに行くって事じゃないの? そこまで了承したなら、もう俺の事を受け入れてるって事だろう?」

「え……」

「違ったか?」

そこは察してんですか?
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