気になるパラドクス
正直にいうのはハッキリ言って恥ずかしいから、無言でおいでおいですると、晴れやかな笑顔で近づいてきた。
「私のワードローブ見ても楽しいのは無いよ」
「いやぁ、クローゼットの中を覗かせてくれる女性もなかなかいないよな」
あ、それもそうだ。
下着は別にしてるから、別にいいかと思ったけど、そんな女は確かにいないかも。
慌てて黒埼さんを止めようとして立ちはだかると、ひょいっと持たれてベッドに下ろされた。
私をひょいひょいと、よく持ち上げるよね、この人は……。
「力持ちだよね」
「まぁ、日頃の鍛練の賜物だよな」
涼しく笑いながら、黒埼さんは私に背を向けてクローゼットの中身を物色し始める。
……確かに、男の人にクローゼットを見せる女は滅多にいないだろうけど、女のクローゼットを楽しそうに見ている男もかなり珍しいと思うよ。
そんな感じで選ばれた洋服は、着ていた白のブラウスに合わせてタイトな黒のロングカーディガン。そしてどこから見つけたのか、細かい花柄のキュロットスカートだった。
「カジュアル過ぎない?」
「いいから着ろ。それとも着替えさせてやろうか? それはそれで、俺は楽しいけど」
冷めた表情で見つめ返されて、悪戯心がムクムク沸き出したけど……。
“じゃあ、着替えさせてよ”なんて言うと、本当にその通りにしそうな予感もある。
おとなしくお風呂場に行って着替えてから、コートを着せられて部屋を出た。
「……黒埼さんて、もしかして着せ替え人形で遊ぶ人だった?」
鍵を閉めながら恐る恐る表情を窺うと、さすがにムッとしたような口元に笑ってしまう。
「さすがにそれはないか」
「ない。可愛いものは好きだが、俺は見るのが好きなんだ。だいたいお前は自分を解ってない。自分に似合うと思いこんで、全く真逆に走っていくタイプだ」
「ひどー……」
そんなことを言い合いながらだったから、黒埼さんの車に乗っても、さっきまでの緊張はすっかり無くなっていた。
……はずなのに。
ちょっぴりレトロな二階建ての一軒家の駐車スペースに車を停める黒埼さん。
急激に“緊張”の二文字が頭の中を支配して、簡単に私はパニック状態になった。
「私のワードローブ見ても楽しいのは無いよ」
「いやぁ、クローゼットの中を覗かせてくれる女性もなかなかいないよな」
あ、それもそうだ。
下着は別にしてるから、別にいいかと思ったけど、そんな女は確かにいないかも。
慌てて黒埼さんを止めようとして立ちはだかると、ひょいっと持たれてベッドに下ろされた。
私をひょいひょいと、よく持ち上げるよね、この人は……。
「力持ちだよね」
「まぁ、日頃の鍛練の賜物だよな」
涼しく笑いながら、黒埼さんは私に背を向けてクローゼットの中身を物色し始める。
……確かに、男の人にクローゼットを見せる女は滅多にいないだろうけど、女のクローゼットを楽しそうに見ている男もかなり珍しいと思うよ。
そんな感じで選ばれた洋服は、着ていた白のブラウスに合わせてタイトな黒のロングカーディガン。そしてどこから見つけたのか、細かい花柄のキュロットスカートだった。
「カジュアル過ぎない?」
「いいから着ろ。それとも着替えさせてやろうか? それはそれで、俺は楽しいけど」
冷めた表情で見つめ返されて、悪戯心がムクムク沸き出したけど……。
“じゃあ、着替えさせてよ”なんて言うと、本当にその通りにしそうな予感もある。
おとなしくお風呂場に行って着替えてから、コートを着せられて部屋を出た。
「……黒埼さんて、もしかして着せ替え人形で遊ぶ人だった?」
鍵を閉めながら恐る恐る表情を窺うと、さすがにムッとしたような口元に笑ってしまう。
「さすがにそれはないか」
「ない。可愛いものは好きだが、俺は見るのが好きなんだ。だいたいお前は自分を解ってない。自分に似合うと思いこんで、全く真逆に走っていくタイプだ」
「ひどー……」
そんなことを言い合いながらだったから、黒埼さんの車に乗っても、さっきまでの緊張はすっかり無くなっていた。
……はずなのに。
ちょっぴりレトロな二階建ての一軒家の駐車スペースに車を停める黒埼さん。
急激に“緊張”の二文字が頭の中を支配して、簡単に私はパニック状態になった。