ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
翌日。沈んだ心とは逆に空は晴れ渡り、今日も蒸し暑い一日になりそうだった。
約一ヶ月ぶりの校舎に足を踏み入れると、靴箱の奥から楽しげに会話する、1年生女子の声が聞こえてきた。
「おはよー!
わ、日焼けしたね。どこか行ったの?」
「うん、家族で沖縄に行ったんだー。
楽しかった!」
真斗と絵留が水難事故で亡くなった件は、お知らせのプリントが郵送されてきたし、保護者説明会が開かれ、地元のニュースにもなったから、全校生徒が知っているはず。
でも、うちのクラスじゃない子にしてみたら、そんなに悲しいことじゃないのかもしれない。
約一ヶ月も経ってしまえば、そうやって明るく笑える程度のことなのかも……。
上靴に履き替えて、廊下を進み、自分のクラスを目指した。
うちのクラスはどうだろう?
明るく笑って2学期の初日を……そんな人はいないと思うけど、お葬式の時みたいな暗い雰囲気は嫌だな。
みんな、気持ちに整理がついたかな?
私は……このままずっと、罪の意識で苦しみ続けるしかないのかな……。