ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



クラス内には3分の1ほどのクラスメイトたちが来ているが、みんな自分の席に座って、スマホをいじったり、終わっていない課題のプリントを静かにやったりしていた。


夏休み前は、明るいクラスだった。

賑やかで、バカを言い合ったりはしゃいだり、楽しいクラスだった。


それが今は別の教室に入ってしまったかのように、静かだ。


シーンとした中で何か話さなければと思い、「課題終わってる?」と琴美に話しかけたら、背後に人の気配がした。


振り向くと、ドアから入ってきたのは敬太。

久しぶりの敬太の顔を見上げて、私は言葉をなくしていた。


目の下には濃いクマが。

頬はこけて、かなり痩せたように見える。


いつも自信に満ちあふれていた瞳は悲しげで、私の知っている敬太とは別人のような人が立っていた。


眠れているのだろうか……ちゃんと食べているのだろうか……。


そんな心配を心の中でして、ただ敬太を見つめていた。

すると敬太は苦笑いして、私の頭にポンと手を置き、「おはよ」と言ってから横を通り過ぎていった。


< 182 / 247 >

この作品をシェア

pagetop