ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
沈んでいる私たちを、元気づけようとしているのが伝わってくる。
でも……。
「この夏休みは不幸な事故が起きて、残念な結果となってしまった。
だが、みんなには未来がある。早くこのことを消化して、前に進んでもらいたい。
明るいクラスにしよう! みんな笑顔で過ごそう!
それが、亡くなったふたりも望んでいると……」
先生が熱く語っている途中で、急にバンと、大きな音が響いた。
ビクッと肩を揺らして音のした方を見ると、机3つ分離れた先で、敬太が自分の机に拳を叩きつけていた。
「か、柏木? どうした?」
先生が敬太を心配する。
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がった敬太は、怖い顔をしていた。
隣のクラスにまで聞こえそうなほどの大声で、先生に向けて怒鳴った。
「ふざけんじゃねーよ‼︎
俺らがヘラヘラ笑って、死んだふたりが喜ぶわけねーだろ‼︎
真斗は俺を恨んでるよ。
近くにいたのに助けてやれなかった俺を……。
真斗は俺が殺したようなもんなんだよ‼︎」