ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
『帰る』と言ったから玄関に向かったのだろうと思い、階段を下りようとした。
でも、上に続く階段の方から、敬太の足音が聞こえてきた。
え……? どこに行くの?
ここは3階。校舎は4階建てで、上にあるのは3年生の教室と屋上のみ。
屋上? まさか……。
いやな予感に慌てた。
脳裏に描いてしまったのは、屋上のフェンスの外側に立ち、飛び降りようとしている敬太の姿。
敬太は真斗を助けられなかったと、自分を責めていた。
だから、思い詰めるあまりに、自殺しようとしているんじゃないかと思って。
慌てて階段を駆け上がる。
上っている途中で、屋上の鉄の扉がギィッと開いて、バタンと閉まる重たい音を聞いた。
敬太、ダメだよ!
お願い、早まらないで‼︎
すぐに私も鉄の扉の前に着いた。
ドアノブを回して屋上に飛び出すと、敬太の姿がすぐに目に飛び込んできた。