ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
辛くて苦しいからこそ、バカみたいに騒ぎたい……そういう気持ちもあるのかもしれないよね。
琴美と梨沙も、私と敬太のことを大喜びしてくれた。
お弁当を手に敬太と歩く私を、「行ってらっしゃーい!」と、ふたりしてニヤニヤしながらお見送り。
恥ずかしさと嬉しさを感じながら、私は敬太と一緒に教室を出た。
3日前に屋上で話した時、いつもの敬太らしくない言動に戸惑い、付き合おうと言われても素直に喜ぶことができなかった。
その気持ちが、徐々に甘いものになりつつあるのを自覚している。
みんなに冷やかされたり、祝福されたりしている内に、喜んでもいいのかな?という気持ちになってきたのだ。
『霞は悪くない』と言った敬太が、おかしくなったように思えて少し怖かったが、今は怖くもない。
敬太はいつもの敬太に戻っていて、笑顔で話しかけてくれるし、とても優しい。
「霞、飲み物あるか?
自販機寄ってく?」
「ううん、ペットボトルのお茶が残ってるから大丈夫」
「じゃあ、真っ直ぐあそこに行くか」