ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



「霞に頼みがある。
ナニカを……呼び出してくれ。
俺を消してほしいと、ナニカに願ってくれ」


ナニカを呼び出す……?
敬太を消してほしいって……?


ぼんやりした頭で、敬太の言葉を繰り返していた。

酸欠状態から回復して呼吸も落ち着くと、やっとその言葉の怖さに気づいた。


驚いて体をねじって後ろの敬太を見る。


敬太は真顔だった。

冗談でそんなことを言っている雰囲気は微塵もない。


それでも、敬太の言葉を冗談にしてしまいたくて、私は顔を引きつらせながら、ぎこちなく笑って見せた。


「や、やだな〜。
敬太は何を言っているのよ……」


「笑うなよ。俺、マジで言ってんだけど」


切れ長の二重の瞳が少し狭まり、睨むように私を見据えていた。


背中に冷や汗が流れ、敬太を怖いと感じた。


コクリと唾を飲み込んでから、恐る恐るその理由を尋ねてみる。


「どうして、そんなことしたいの……?
まさか、敬太は……死にたいの?」


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