ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



そうなのかな……。
私が願うだけで、ナニカは出てくるのかな……。


もしそうだとしたら、今私が敬太を消してほしいとお願いしたら、ナニカは敬太を殺してしまうということで……。



敬太を襲うナニカの姿を想像してしまった。


黒くてドロリとした体をくねらせ、犠牲者たちから奪った顔のパーツを貼り付けた、不気味なナニカの姿。

それと、顔をくり抜かれて、血に染まる敬太の姿を……。


ブクブクッ、ボコボコボコッというあの音が聞こえた。


耳に聞こえたのではなく、私の記憶の中から心に響いて聞こえてきた。


その音にハッとして、頭をブンブンと横に振り、嫌なイメージ映像を取り払おうとした。


「とにかく、ダメなものはダメなんだよ!
敬太が好きなのに、そんなこと願えるわけないじゃない!」


そう叫んで無理やり話を終わらせようとしたら、体に回されていた敬太の腕が外れて、肩が後ろに引っ張られた。


後頭部を床に打ち付け、目に火花を見る。

私を後ろに引き倒したのは、敬太だった。


痛みで顔をしかめる私の上に敬太が乗り、30センチ上から鋭い視線を浴びせてくる。


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