ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
一段一段階段を上りながら、永遠に上っていたいと思ってしまった。
このまま階段を上り続けて、2ー5にたどり着かなければいいのにと……。
けれど、すぐに3階に着いてしまい、廊下を少し歩くと教室の前に着いてしまった。
足もとに向けてため息を落としてから、ゆっくりとドアを開けた。
ところが、いるはずだと思っていた敬太の姿はそこにはなく、私は入口に突っ立ったままポカンとしてしまった。
来ていないということは……もしかして気が変わったとか?
そんな期待をしてしまい、中止の連絡が入っているかもと、ポケットに手を入れスマホを出そうとした。
すると突然、背後からポンと肩を叩かれた。
不意打ちに驚いて悲鳴を上げてしまうと、すぐさま大きな手に口を塞がれた。
「なに叫んでんだよ。でかい声出すなって」
あ……敬太。
気が変わったわけでも、学校に来ていないわけでもないと知り、ガッカリしてしまう。
ナニカを仕留めるための準備とやらをしに、教室外にいたというところか。
中止という希望が消えて、私はさらに深いため息をつくしかなかった。