ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
教室に入り窓際へ行く。
ふたり並んで、外を眺めた。
空は黒い雲に覆われ、雨はザアザアと音を立てて降っている。
徐々に雨脚が強くなっているみたい。
校門の外にある外灯が濡れたアスファルトに光を散らし、その周辺だけが異様に明るかった。
やまない雨を見ながら、何度もした問いを敬太にもう一度投げかける。
「本当に、やるの……?」
「当たり前だろ。絶対にやってやる」
言われる言葉は分かっていた。
敬太は言ったことを必ず行動に移すタイプ。
今まではそんな敬太をすごいなと思い、頼もしく感じていたけれど……今は困ってしまう。
「俺がついてるから大丈夫だ。
いざとなったら、霞は逃げればいい。
ターゲットは俺だから、離れていればお前に被害はないだろ」
「そんなの嫌だよ!
私のせいで敬太まで死んじゃったら……私は……私は……」
後悔している。
ナニカがいたなんて、嘘をつかなければ良かった。
桜井先生と飯塚先輩を消してと、願わなければ良かった。
醜い嫉妬で絵留を憎まなければ良かった。
そうすれば、真斗は死なずに済んで、敬太もこんな風にならなかったのに……。