ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



敬太に対して、今は純粋な恋心だけじゃなく、同情と申し訳なさも感じている。


敬太は真斗を失ったショックで、心を病んでいるのだと思う。


そうじゃないと、自分をターゲットにしてナニカを呼び出せなんて、危険なことを言わないよね。


行き場のない悲しみや怒りを、ナニカに復讐することで解消させたいんだと思う。


敬太のことは大好きだよ。

でも、今隣にいる敬太は、私の求めるいつもの敬太と少し違う。


もし、この計画が上手くいって、敬太がナニカをやっつけることができたとしたら……元の敬太に戻ってくれるかな?


私もこの先、ナニカを呼んでしまうかもしれないという恐怖から解放されるのかな?


すべてがいい方向に向かうなら、いいのだけど……。



時刻は19時近くになっていた。

「霞、そろそろ隠れるぞ」と、敬太に言われる。


入るように指示されたのは、教室の隅にある掃除用具入れ。


開けると中は空っぽで、モップやほうきはなかった。


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