ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
「中身は?」と、尋ねる私に敬太は言う。
「隣のクラスの用具入れに移しといた。
ふたりで入れるようにな」
かなり狭い空間だが、中身がなければ確かにふたりで入れそう。
敬太のリサーチによると、日曜日は事務のおじさんが19時に校内を見回り、施錠して帰るらしい。
それで、見回りをやり過ごすために、隠れる必要があるのだ。
敬太が先に中に入り、私も入る。
どうやって扉を閉めるのかと思ったら、ドアの内側に紐をガムテープで貼り付けてあり、紐を引っ張れば中からでも閉められるようにしてあった。
さらに、中に入った後ドアが開かなくなることがないように、ドア側面の金属が出たり引っ込んだりする部分には、ガムテープが貼ってあって、ロックされない細工がしてある。
私より先に来た敬太の準備とは、これも含まれていたみたい。
紐を引っ張り、敬太が扉を閉める。
向かい合わせで、体をぴったりと寄せ合う私たち。
自分の心拍が耳もとで鳴っているくらいに大きく聞こえていて、見回りの人が来て帰るまで、この状態に耐えられるだろうかと心配になった。